久しぶりにベストセラーを読んでみた。
あっという間に読み終わってしまったのは、面白かったからだろう。でも、これから何日か経ってこの物語のことをどれだけ覚えているだろうか。
何処かに残っていて、いつかにょろにょろ浮かび上がることがあるかもしれない。そのときは、春樹ワールドに漂う空気を現実のヒカリに感じたときだろうね。
この間メトロに乗ったとき、隣に座っていた大学生風の眼鏡の女の子が、鮮やかな赤い表紙の本を熱心に読んでいた。見たことある、この表紙。ちらりのぞくとやっぱり「ノルウェイの森」だった。
それできっと私も読みたくなったのだ。あの頃みたいに。
でも、あの頃はもうないことに気づいただけだった。
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