キル・ビル Vol.1

DVD ジェネオン エンタテインメント 2004/04/16 ￥3，990
「とりあえず、髪を黒くないと。」
早春。学生で混雑するインド大使館前で、ビザを取りに来た私に、白いコートを着た1人の可愛い女の子が声を掛けてきた。
「卒業旅行ですか？インドは始めてですか？」
どちら答えもノー。彼女は、はじめての一人旅ではじめてのインドだという。まだまだ順番までたっぷり時間があったので、あたたかいカフェオレを買い、お日様のあたるところに座って2人で話をした。
食べ物はどうですか？インドの何処がよかったですか？今回は何処に行くんですか？女一人旅で危険なことは何ですか？
あれこれ私の経験と見解を話し、『地球の歩き方』片手に、彼女の旅プランを検討する。彼女は少しだけ不安が和らいだようだ。
そして、冒頭の一言がこぼれ出た。
旅の準備はまず、黒髪から。
25歳だという彼女は、仕事に行き詰まりを感じ「自分探し」をしたいのだという。「ありがちですけど、それにはインドかな」と微笑む。そして、その第一歩として、出発までに髪を黒く戻すというのだ。彼女の髪はキレイなシャギーの入ったミディアムストレート。もともとそんなに明るく染めているわけでもない。今までのインドの話からどうしてそこに飛躍するかな、と思ったのだが、なんだか印象に残っていた。
さて、キルビル。最後の対決シーンを観て、ふとインド大使館でのこの出来事を思い出した。黒髪って凛とした芯があるなと感じたからだろう。なんだか強そうじゃないか。女性にとって髪は武器。確かに身を守ってくれるということを、彼女は感じていたに違いない。
イタイのが苦手な私も、笑ってしまう作品だったのだが、このスピード感とあまりにかけ離れた日々なので刺激が強かったかな。「おんな、おんなの〜うらみ節〜」とか、そんな歌には何故かグッとくるものはあるんですが。